青森商工会議所会館1階(青森市新町)で11月4日、トークショー「ナンシー関を語る」が開催された。
青森出身で消しゴム版画家として知られ、2002(平成14)年に亡くなったナンシー関さんをテーマにしたトークショー。「地元青森でも若い世代では知っている人が減りつつある。少しでも多くの人にナンシー関の存在、仕事を知ってほしい」という思いから河北新報社青森総局が企画した。登壇者は作家・クリエーターのいとうせいこうさん、ギャラリークレイドル(桜川)主宰の高樋忍さん、青森大学副学長の佐々木淳一さん。
いとうさんは「ナンシー関」というペンネームの名付け親。高樋さんは2003(平成15)年に青森で行われた「ナンシー関消しゴム版画展」で実行委員を務め、佐々木さんは当時青森市の職員だった。
トークショーでは、過去の展示会の振り返りや青森の版画文化、ナンシー関の人柄などを語った。いとうさんが浅虫温泉を訪れた際、飾っていた棟方志功の写真が自身にそっくりだったことに触れ、「不思議な縁を感じた。ナンシーはそれで僕に懐いてくれていたのかな」と話し、会場が沸く場面も。イベントの後半では、参加者からの質問コーナーも設けた。
イベント終了後、いとうさんは「青森で行うからこそ語られる事実や実感がある。ゆかりの土地で考えることが重要だと改めて思った」と話す。市内から参加した50代女性は「私自身、ナンシーさんとは同年代。彼女は鋭い視点を持っていて、20年前の文章が今読んでも全然色あせていない。今だからこそ、世の中の人がナンシーさんのような視点で物事を見てほしい」と感想を述べた。