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100年続いた老舗「佐藤せんべい」閉店へ 3代目、苦渋の決断

閉店を告知する張り紙

閉店を告知する張り紙

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 合浦公園近くにある煎餅専門店「佐藤せんべい店」(青森市合浦2)が12月31日で閉店する。

昔ながらの売り場の佐藤せんべい店内

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 佐藤せんべい店創業年は資料がないため不明だが、3代目店主の佐藤守俊さんによると、戦前の昭和初期と思われ100年の歴史があるという。佐藤さんは「祖父が、青森駅で繁盛していた煎餅店のレシピを習得し、独立したと聞いている。当時の煎餅は青森のお土産として認知され、商売も繁盛していたそうだ」と話す。

 佐藤さんが店を手伝い始めたのは1982(昭和57)年から。高校卒業後に上京し、洋菓子店で働いていたが、23歳で帰郷して店を継ぐことになった。佐藤さんが戻ってきた頃の青森は幼少時代と違い、人の流れが大きく変わった。店の近くにあった浪打駅が廃止され、合浦公園にあった青森競輪場は移転した。

 家内制手工業で一枚一枚製造し、1枚単位で販売する。卸売りはせず、配達もしない。支店は出さず店に来てもらう昔ながらの売り方に徹した。店を休むのは正月とお盆のみ。ホームページもない。煎餅を個包装にしたのは2代目店主の時代から。当時はまだ個包装が浸透していなかったため、反対もあったという。包装袋にはねぶたのイラストを描き、3色を用意した。現在は1色になったがデザインは変えていない。

 佐藤さんは「私が手伝い始めた頃は、既にお土産としての煎餅は衰退しつつあった。昔は煎餅店の組合があり、市内だけでも70軒はあった。組合で旅行に出かけることもあったが、煎餅専門店は今、4軒だけ」と話す。「今まで続けることができたのは常連客のおかげ」とも。

 60年以上前から使われている機械は今でも現役だが、メーカーは既に廃業しているため、故障する度に佐藤さん自身が修理する。建物は劣化し、新たに設備を更新する予算は捻出できず、後継者もいない。社会の高齢化が進み、コロナ禍も影響した。「昼間なのに、店に面している国道4号には人が誰も歩いていない状況もあった」と佐藤さん。

 近年は原材料費の高騰や小麦粉の質の変化にも悩まされた。佐藤さんは「同じ物を仕入れて同じ製法で作っても、仕上がりが違うこともあった。常連客から味の違いを指摘され、調整に苦労することもあったが、結局は『やっぱり佐藤せんべいが一番』だとお客さまから言ってもらえるのがうれしい」と笑顔を見せる。

 閉店は常連客に口頭で伝え、閉店を告げる張り紙も9月ころから掲出した。県外から閉店を惜しむ手紙が届くこともあるという。営業は12月31日までだが、原料の仕入れ状況次第で変更する。佐藤さんは「100年続いた煎餅店を閉業するのは申し訳ないが、時代の流れだろう。定休日なしで続けてきた。煎餅作りを手伝う母の年齢も90歳を超えた。今は一度休みたい」と話す。

 営業時間は10時~18時。

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