「青森の湯っこ協会」主催のトークイベント「温泉マニアが青森の温泉愛をかだる集い」が5月21日、青森県観光物産館アスパム(青森市安方1)で開催された。
県外の温泉愛好家ら4人が青森県の温泉の魅力を語った同イベント。主催した「青森の湯っこ協会」は、青森・板柳出身で現在は鹿児島在住の沓掛(くつかけ)麻里子さんが始めた温泉好きが集まる団体。沓掛さんは「コロナ禍もあって、ここ2、3年で県内の温泉施設の廃業や休業が目立つ。いつまでもあり続けると思ってはいけないという発信の意味を込めて開催を考えた」と話す。
冒頭で沓掛さんが、青森県は温泉の総湧出量は全国4位を筆頭にトップクラスの温泉県であることを紹介したうえで、地元民は温泉が身近にありすぎるため、その魅力に気づいていないと指摘。「地元民しか知らないような温泉が実は温泉ファンの間では全国規模で知られているところもある」と沓掛さん。
登壇した3人は東北温泉倶楽部の浅沼勝成さんと茨城在住で別府八湯温泉道名人会の石井靖史さん、埼玉在住の温泉ソムリエ・本田佳和さん。それぞれ青森の温泉の魅力や自身の好みの温泉などを紹介し、会場を沸かした。
沓掛さんによると青森の温泉の特徴として、早朝から営業していることを挙げ、中には4時から営業している温泉もあるという。全県にわたって源泉があり泉質が豊富で、湯船の底板に源泉がある「源泉湧き流し」や浴室の床に寝転がって湯を浴びる「トド寝」といったさまざまな種類の温泉があることも挙げ、全国でも珍しいと語った。
沓掛さんは「燃料費の高騰や後継者不足といった問題が少しずつ表面化している。施設内などの撮影をお願いしようすると、『うちみたいなところを』といった回答が多くあり、むしろそうした温泉こそ次世代に残していかなければいけない。県民全体で考えなければいけない課題」と話す。
参加した約30人の中には温泉関係者の姿もあり、酸ヶ湯(すかゆ)温泉の宿泊営業課・高田新太郎さんは「燃料費の高騰だけでなく、温泉施設は設備の修繕費などが重なる。料金を高くすると地元の常連客離れが懸念されるため、そのバランスがどこの温泉も悩みの種なのでは」と明かす。