青森市のしんまち商店街に設置されている土偶型ボラード(車止め)が現在、ハロウィーンの装いになっている。
歩道と自転車用通路を隔てる目的で設置されている同ボラードは、商店街沿いに約50基を配置。1990年代に行われた道路整備事業に伴い設置した物で、デザインは遮光器土偶と板状土偶2種類の計3タイプが存在する。
衣装を着せ始めるきっかけとなったのは、2021年の「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界文化遺産登録。登録決定を祝おうと、青森商工会議所地域振興部地域づくり課の高山寛也さんが、割り箸などを使って自作した「祝い旗」を板状土偶に持たせたことが始まり。
その後、クリスマスシーズンにはサンタクロース姿、正月にはその年のえとにちなんだ姿へと衣装のバリエーションが増えた。高山さんは「業務を通じ、しんまち商店街を管理する青森市新町商店街振興組合との親交があり、土偶への着付けについて快諾を得た。地元の若い人たちに『自分たちの街』という愛着や主体意識を持ってもらおうと、地元の大学生にも声をかけて着付けを行っている」と話す。
同取り組みの背景には、高山さん自身の大学時代の体験がある。静岡の大学へ通っていた当時、地元の商店街がクリスマスになるとサンタの人形が設置され、にぎやかに彩られる様子に感動したという。「生まれ育った青森でも日常のちょっとした変化や季節感を楽しめる街にしたい」と高山さん。
土偶が身につける衣装は一部助成金を活用しているが、多くが高山さん自身の私費によるもので、準備や着付け作業もすべて業務外時間に行っている。「有志の活動として行っているため当然のこと」と高山さん。雨などで衣装がぬれた際には、新しい衣装への着せ替えやクリーニングを行うなど維持管理にも務めている。
最近ではSNS上で、ハロウィーン仕様となったすべての土偶を写真付きで紹介する人や、イラストを描いて投稿するファンが現れるなど反響を呼んでいる。高山さんは「学生から『ネットでバズっている』と聞いて知った。今回土偶が着用しているカボチャの衣装は実はペット用の物だが、学生たちがアイデアを出し合って上手に着せてくれた。街の小さな変化に気づき、楽しんでもらえていることが何よりうれしい。商店街の活性化にもつながれば」と話す。
ハロウィーン仕様は10月31日まで。11月からはクリスマス衣装へと衣替えを行う。