青森市ふたごみつごの会が2月14日、多胎育児経験者を対象としたアンケート結果と報告書を一般公開した。
多胎育児経験者自身が2021年に設立した同会。コロナ禍で市民センターやプレールームがある施設が閉鎖され、外出もままならなかった時期だったと振り返る代表の佐藤美保子さんは「双子・三つ子を持つ親同士が育児の大変さや乗り越え方を共有する場所が必要だった。前身となるサークル活動を経て、有志で立ち上げた」と話す。
佐藤さんは現在、6歳の双子男児の母。40代で出産し、夫や両親の協力がありながらも多胎育児の大変さを痛感。他県にある多胎育児の会の活動などを調べていく中で、「青森の現状を調査し発信しよう」と、メンバーと共にアンケートの実施を決めたという。
同アンケートは多胎育児中・経験のある親を対象に、育児と共にある生活の現状を把握するため昨年4月~5月に実施。会のメンバーをはじめ、つてをたどって集めた29人(男性2人・女性27人)が回答に協力した。
多胎育児では不変的な課題ばかりだという佐藤さん。アンケートを集計し、「ママの孤独」「人手が足りない」「理解者がいない」「外出が困難」「ママの睡眠時間の確保が困難」などの現状があったほか、転勤族の場合は「頼る人が周囲にいない」などの課題もあった。アンケートに回答した40代女性は「自分が出産する時にこういう情報が欲しかった。同じ気持ちの仲間がいると思うだけで頑張れたと思う」と話す。
佐藤さんは「生の声が集まった。アンケート結果は提案や要望などを盛り込み、青森市保健所・あおもり親子はぐくみプラザへ提出した。幸い、会を立ち上げた年に青森市では『多胎妊産婦等支援事業』が始まったこともあり、行政との連携体制が取れるようになってきている。さらに多胎育児の負担が軽減されるような動きにつながるきっかけになれば」と期待を込める。
多胎育児をする親たちに向け、佐藤さんは「ひとりで頑張りすぎないでほしい。子育ては1人の子どもでも大変なこと。抱え込まず周りに頼ってほしい。手を差し伸べてくれる人は必ずいるから」と話す。「私たち当事者が伝えることで、多くの方に多胎育児の現状を知ってもらえたり、これから出産するママたちの役に立てたりできればうれしい。公共の場で双子ちゃんや三つ子ちゃんを見かけたときには温かい目で見守ってほしい」とも。
アンケート結果と報告書は同会のリンクツリーで公開している。