![沼から引き上げたカゴを見つめる青森中央高校の生徒たち](https://images.keizai.biz/aomori_keizai/headline/1684501767_photo.jpg)
野木和公園近くの又八沼(またはちぬま、青森市羽白)で5月13日、高校生を対象にした環境学習会が開催された。
「シナイモツゴを守る会」が主催する学習会は、青森市天然記念物の「シナイモツゴ」を保護保全することと、近隣の住民や小中高生などへの自然体験の提供を目的にして開いている。10月まで定期的に採集を予定しており、生徒などが参加する学習会は3回実施。今回は青森中央高校から14人が参加した。
シナイモツゴとは、宮城県の品井沼(しないぬま)で発見された日本固有の淡水魚。関東以北に広く生息していたが、現在関東地方では絶滅したとされている。生息の北限は秋田・岩手県といわれていたが、1993(平成5)年、又八沼で生息が確認され、地域住民が保護活動に取り組んでいる。
当日は採集体験のほか、弘前大学の佐原雄二名誉教授による講義、参加生徒への活動証明書交付などを行った。体験ではシナイモツゴを採集できなかったが、モツゴ、ハゼの仲間であるウキゴリ、スジエビなどを確認。同会顧問で青森中央高校・高谷悟教諭(「高」ははしごだか)は「シナイモツゴを採集できなかった理由は、気温と水温が低かったことが影響したのかもしれない」と話す。
参加した生徒からは「普段触れ合わない生き物を見られて貴重な機会になった」「沼の生物は最初怖かったが、だんだんとかわいらしく見えてきた」などの声が聞かれたほか、「シナイモツゴが絶滅するかもと聞き、驚いた」などの反応もあった。
高谷教諭は「将来を担う若い世代に青森の豊かな自然を伝えていきたい。地域の自然環境を守る意識を持つ生徒が出てきたらうれしい」と話す。「8月には水抜きをして、シナイモツゴの保護や沼全体の生物採集を行う。又八沼をいずれ、シナイモツゴの沼にできたら」と意気込む。