
青森の映画館「シネマディクト」(青森市古川、TEL 017-722-2068)が2月6日、施設改修やイベントスペース整備のための資金支援者募集を始めた。
同館は現館長の谷田恵一さんの祖父・猷次郎さんが映画館「奈良屋劇場」を建てたことから始まった。1962(昭和37)年には火災で焼失したが、先代が再建。1997(平成9)年からは「シネマディクト」に名前を変えて谷田さんが館長となり、ミニシアター系を中心にさまざまなジャンルの映画を上映している。開館から28年を迎え、老朽化が進む設備や音響・映像機器の更新・メンテナンス、トイレなどの改修に加え、1階スペースの活用を目的に、支援プロジェクトを立ち上げた。
谷田さんは「(支援プロジェクトは)悩んだ末、地域に根付く映画館を存続させるため決断した。幸い周りに相談できる人が多く、あらゆることを教えてもらいながら進めている」と話す。目標金額は600万円。施設や設備の改修のほか、かつてテナントとして貸していた1階をイベントスペースやシェアオフィスとして整備する予定。
「映画を通した交流の場となるよう、1階でカフェ営業やイベントを開催したい。世代を問わず立ち寄れる、街の情報が集まる場にできたら」と谷田さん。「反響の大きさに驚いている。県内はもちろん、全国各地から支援がある。地元の高齢のお客さまがカウンターで声を掛けてくれることもあり、感謝しかない」と話す。
同プロジェクトを機に、新たなつながりも増えているという。「当館に映画を見に来たことがない若い世代が関心を持ってくれたり、青森で活動する色々な人と知り合えたりした」と谷田さん。
支援者への返礼品は、オリジナルの手ぬぐいやTシャツなどのグッズのほか、同館1年間通い放題券や1日上映権、オープン当初から上映に使われてきた35ミリ映写機のレンズなどを用意。3月には上映会などのイベントを予定している。
谷田さんは「映画を見に街に出てくると、新たな体験や発見や何かが始まることがある。しっかりとした映画を届ける場、交流のきっかけとなる場を作るつもりで、4月まで全力で走り抜く」と意気込む。
同プロジェクトの支援募集は4月7日まで行う。