青森ねぶた祭が8月2日、3年ぶりに開幕した。
青森ねぶた祭は、無病息災を祈り行う七夕の灯籠流しや、稲作が中心の東北地方に伝わる秋の繁忙期前に「眠気」という悪霊を祓う「眠り流し」が起源といわれる、東北三大祭の一つ。
今年は新型コロナウイルス感染症対策のため、さまざまなルールを設けて行われた。大型ねぶたは例年より5台少ない17台。跳人(はねと)は、従来の自由参加制から事前登録制とし、期間を通し約2000人までと人数を制限した。応募が殺到し1万6000人を超え、2回設けていた抽選も1次選考で全て埋まったという。囃子(はやし)方も団体によっては人数を制限しているため、今年は「運行・跳人賞」と「囃子賞」は選出しないことになった。
運行コースは、近年、全てのねぶたを配置して一斉にスタートする方式で行われてきたが、今年は、出発地点より1台ずつ間隔を空け、順次繰り出し、一巡したら終了とした。観覧場所によっては、1時間ほどで全てのねぶたが通り過ぎたり、待つ時間を含め2時間以上かかったりすることもあった。「吹き流し」とも呼ばれ、2000(平成12)年までは、この方式が取られていた。
青森市民からは「昔に戻ったようで懐かしい。待つ時間、気持ちが高ぶる」という声も聞かれた。一方で「一斉スタートに慣れてしまい少し物足りない」との声もあったが、ねぶたが近づいてくると、目を輝かせマスク越しにでも分かる笑顔で迎えていた。
40代女性は「知人が子どもたちの将来のためにも、今回の開催はありがたいと言っていた。台数も参加人数も少なかったが、3年ぶりにねぶたを見ることができ、子どもと一緒に青森の夏を体感でき感激」と話す。50代男性は「かつてのとどろくようなにぎわいはないが、青森の火祭りが再び戻ってきたことが、とにかくうれしい」と目に涙を浮かべる。
跳人たちがマスク越しに発する「ラッセーラー、ラッセーラー」の掛け声に、沿道の観客は絶えず拍手で応え、カメラやスマートフォンを向けていた。